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映画『すずめの戸締まり』を観た

 

そろそろ公開終了するので、少々ネタバレ。

主人公の女の子はどこにでもいる感じの子だと思う。一方でそこに登場する「美しい青年」は現実には存在しないと思った。見た目も性格も、どこまでも理想的で、この人の内面の美しさに終始感動させられ続ける。

繰り返しアニメに登場するタイプの、多くの人の憧れである「美しい青年」、綺麗な顔で、綺麗な長い髪で、飾らない服装、これだけならまだ、稀ではあるが現実にいなくはない。

ただ、現実にはこのルックスだと、多くは性格がルーズで自己中心的でナルシストであるものだ。

この「美しい青年」は、学業優秀で責任感が強く几帳面で、繊細で控えめで自己犠牲的で温かい。一言で言うと、あまりにも人間が出来ている。現実には、人間って誰をとっても、こんなに大人じゃない。誰もが落ち度だらけで少々腹立たしくも愛おしいものだ。

映画の中のこの人は完璧であり、終始キュンキュンさせられる。そこに巻き込まれていく人々も、みんなおせっかい焼きで温かい。ストーリーが進むごとに、現実に起こった大災害と話がリンクしていく。感慨深い。この青年の現実離れ感が、風景描写の美しさと相まって幻想的で心洗われる作品だった。