:: rainbowdrops ::

泣いて欲しがる子に買い与えてはダメ?

 

「泣いて欲しがる子に、買い与えをすると、子供が味をしめて、どんどん泣くようになる」という一般論をよく耳にする。ずいぶん前から私の頭の隅っこに引っかかっていた、ワンパターン育児論。

泣く理由、おねだりの理由は、子供の数だけあるはずだ。一部には、「泣いたら与える」が常習化するようなお子さんも、いるのかもしれないが。

例えば、お母さんが働いて稼いだお金、という概念が身近で、買い物に対して遠慮がちな子。欲しいものがなかなか言えない。

一方、親の側が、買い与えは良くない、と思うあまり、意地の張り合いになる親子。どうせ買ってもらえないだろうが、せめて好みを全否定しないで欲しい、と泣く子。

または、たくさん買ってもらえていて、めったに泣かない子。親も欲しくなっていて、先回りして買っている。

物欲も人それぞれで、物に執着のない子もいる。きょうだいでも全然違うので、物欲のあるなしは育て方ではない。

全体としては、ほとんどの子が、「泣けば買ってもらえると思ってわざと泣く」のではなく「なかなか買ってもらえないことが心から悲しくて泣けてくる」のだと思う。娯楽を買い与えないのに、知育ものは高額でも買ってやるから、親子喧嘩になる場合も。

うちの二人の子供は、引っ越しをした時に、目の前のいろんなものを欲しがって泣いた。たいていはどちらか一人が泣くので、泣いていない方の子に、いつも説明するのだった。

欲しいから泣いているんじゃない。泣いているから欲しいんだ。そう説明すると、泣いていない方の子は、いつも笑って頷くのだ。泣いている理由は、知らない街で過ごし、仲良しの子と遊べず、見慣れた家に帰れないからだ。

子供にも親にも、どうしようもなくストレスがある時には、しつけよりも、泣いている時間を短くすることの方が大切。

そんな時、私はよく子供にガチャを買い与えた。約束をする。欲しいのが出なくても1回きり、泣かない、と。どうでもいいおもちゃを買うことになるけれど、子供にとって、ガチャには夢がある。気に入らなくても泣かない、を繰り返すうちに、全体として泣く場面が減っていったように思う。

その後は、方針を変えた。目の前でにわかに欲しくなったものは、どんなに安くても、購入計画にないので買わない、と言うようになった。小さい子供のしつけは、途中で方針を変えても、変えたと伝えれば受け入れられることが多いだろう。

私の価値観では、一番欲しいものを我慢して安いものにしておく習慣、欲しいものを手に入れずに毎日を過ごす習慣は、子供に貧乏癖を教えているのと変わらない。

ずっと欲しかったもの、一番欲しかったものを親に買ってもらえた経験、特に、記念日まで我慢して買ってもらった経験は、親子の信頼関係を築く。