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小学四年生の観察日記「カマキリのかんさつ」

 

これは宿題ではない。息子が自主的に紙に書いた観察日記だ。

息子が夕方、学校から帰ってくると、家の前でカマキリを見つけた。一緒に、虫かごに捉えると、図鑑を取り出し、オオカマキリかもしれない、と、そして、育て方を調べて、水を与えた。カマキリは、ペロペロと、まるで猫のように水を飲んだ。

なるほど、水か。私が子供の頃につかまえたカマキリはどれも、翌日には白く干からびていて、ぞっとしながら隣の空き地へ捨てたものだ。カマキリは、出たがって全力で暴れるので、あっという間に消耗してしまう。エネルギーに溢れているからこそ。

息子は、意気揚々と、家にあるプリンタ用紙を取り出し、フリーハンドで四角く枠を書いた。息子がこんなに真直ぐな線を描くのを初めて見た。行までフリーハンドで描こうとするので、私が、1.5cm間隔で点を打ってやった。息子は、緻密な絵を描き、本物そっくりな色を塗り、文章の起承転結もしっかりと、30分くらいで一気に書き上げた。

やらされたことはやらないが、やりたいことはこんなにも出来るのだということが分かった。線も描ける、絵も根気良く細かく描ける、普段一文字もなかなか書けないのに、字も書ける、文章の構成まで考えられる。

カマキリを学校に持って行くと言う。いきもの係だから。翌朝、15分前から玄関で待機し、かなり早めの時間に家を出て行った。こんなことは、今年度初めてだ。

生まれながらの虚弱児ながら、体調を克服するエネルギーを持っているようだ。だからこその虚弱児なのかもしれないが。毎朝の体調不良。

息子が学校から帰ってくると、空になった虫かごに、わずかに黄緑色の小さな物体。学校ではクラスの友達が興味を持って大いに盛り上がり、みんなで学校の裏庭でバッタをでかまえて与えたら、頭からバリバリと食べたのだとか。バッタのオシリがわずかに残っていた。カマキリは動くものしか食べないから、動かなくなると食べない。最後のほんの一口を残したことに納得。

帰宅時に息子がこっそり放してやったそうだ。私がさんざん、カマキリがすぐ死ぬ話をしたからだ。「みんなはがっかりするかもしれないけど。」と言うけれど、理由を説明したら、きっと納得してもらえる。こんなに立派なカマキリが虫かごで一生を終えるのは哀れだ。

観察日記、先生に出さなかったらしい。宿題ではないから。後日、私と一緒に見せに行った。

学ぶ、って何だ。学校で何度も漢字を書くことか。運動会の絵や作文を書くことか。それも大切なのかもしれないけれど。

学ぶとは何よりも、発見することだ。たくさん学んで欲しい。