トラウマと孤独、科学館より
こども宇宙科学館に行った。科学が大好きな、9才の息子。スライム展をやっているから行った。
息子は、重度乗り物酔い。電車の揺れに対して頭が揺れないようにとか、心折れることなく試行錯誤を続け、ときおり笑顔で私に解説をするのだった。遠くはないのだが、時間をかけて何とか辿り着いた。今年初の快挙。2019年初のお出かけ。
来れてよかった、と笑顔。大量のスライムを掴んだ感触、自分で材料を混ぜてスライムを作ったこと、宇宙アスレチックで遊んだこと、楽しかったらしい。息子の体力がなく歩き回れないので、上の階から順序良く、移動距離を抑えて回った。
帰りに寄ったスーパーのフードコートで一旦休憩しつつ、そのまま夕食。息子は、食事を途中で終えると、隣の椅子を三つ並べて、靴を脱いで、横になった。顔面蒼白、ときどき体を震わせ、もだえるようにしている。たまにちらっとこちらを見て、ニコリとして私を安心させてくれる。この日に限らず、息子は日々、こんな感じ。消化力がなく、咀嚼、嚥下も困難。なのに明るい。
1時間ほど横になって、もう帰ろう、と息子が自分で言うので、またゆっくりと電車に乗って、帰った。
帰宅して玄関に入るなり、私は、急激な腹痛と吐き気に襲われ、玄関でカバンを背負ったまま横になった。動けない。私まで倒れるのは珍しい。
息子が側に来た。
「遺伝だからしょうがないんだよ。」
と息子は言って、静かに笑った。
しゃべれるし笑えるのに、動けないんだ。さっきの息子と同じポーズで、もだえている私。激痛なのに、息子と目が合うと笑えて仕方がない。せっかく、これヤバイ、って息子が教えてくれた食べ物を、私はさっき、食べたんだった。子供が残りを食べないようにと思って。
息子が、私に似てしまったことを、笑っている。本人にとっては、ちっとも可哀想なことじゃないらしい。続けて息子が言う。
「ママのお母さんは、ママが子供のころ、具合悪くても分かってくれなかったんでしょ。」
余裕がなかった、かな。人は、障害があったりしたら大変だけど、大事なのは、そのことを誰か一人でも、側にいて分かってくれるかどうか。分かってくれる、とは、思うだけでなく行動をとってくれること。本当の障害は、理解されない、ってことなんだ。そんなことを息子と話して、お腹を抱えて笑った。お腹が痛くてね。
息子は、調子の良い自分を経験していないから、これが普段どおりでもあるんだろうな。