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帰ってきたつばめ

 

去年のツバメの巣に、今年もツバメが戻ってきた。

ある日、地面のコンクリートの上に、巣が半分崩れ落ち、小さな卵が割れていた。黄身が飛び出し、あたりに薄い血液が飛び散っていた。羽が舞う。

親鳥が、残った巣と、近くの柵を行ったり来たり。柵に止まっては巣を振り返り、また巣に止まり。

その日一日、息子も娘も青ざめた顔。息子が、ツバメの気持ちを心配する。ショックでもう二度と戻って来ないんじゃないかと。

私は話した。ツバメだよ。明日には忘れて、巣を作り直して卵を産むんじゃないかな。たくさん死ぬ分、たくさん産む。人間の子供は、めったに死なない。親の数と同じくらいの子供を生む。全体としては、多めに生む人も、生まない人も。

だから、人間の子供は大切だね。大人の命よりも大切にされる。昔の人はもう少し多めに生んだらしい。うちは二人。良かったね。

数日後、ツバメが巣を作り直して卵を産んだようだ。

ある日、巣の下に、卵の殻が半分になったのが、落ちていた。またかな。

息子が言った。たぶん生まれたんだよ。

しばらく声がしなかったが、十日ほど経つと、4羽の赤ちゃんが見えてきた。

小さな口が見えたと思ったら、みるみる大きくなり、飛んでいって、今日はもう、いなかった。