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中華街と老人とおせっかい

 

晴れた暖かい日、子供たちと中華街。デートに来たような、旅行に来たような、高揚感。ちょっとした異国情緒で、懐かしくも新鮮な気分になった。

駅前の路上で寝転んで酒を飲む老人。印象的な朱の柱の道路標識。すれ違うご老人が次々と、うちの小さな兄妹に声をかけてくださる。温かくもあり、物騒でもあり。

龍の壁画。息子が、金銀銅の龍だと教えてくれた。なるほど。想像力の乏しい私は、黄土色や灰色に茶色かと思った。青もいる。青銅だね。

ネットで見つけた『おもしろ水族館』に行った。水族館はペットショップと変わらない規模でありながらも、小さくて珍しい海の生物がたくさん。

魚の餌付けショーを見た後、遊具で遊びながら、発散するうちに興奮して走り回る子供たち。大笑いして楽しんでいるのでもあり、ストレスをぶつけているのでもあり。やめさせると、ひっくり返って泣く娘。

売店の店員さんが、ゆっくりと来た。高齢の女性。彼女は自分の名前を「タイラバヤシかヒラリンか。」と自己紹介した。昔の流行りの冗談だ。私の親世代だなあと思った。

「何歳だ?なに、ピンクの服にピンクの靴。ピンク好きなの?ん?」
と笑う。答えない娘。私も代わりに答えてやったりはしない。
「そうやって泣いてたら、お母さん困るの。そんな顔ばっかりしてたら、ブスになるよ。」
と笑いながら言ってくださった。

あとは忘れたけれど、娘にいろいろと声がけしてくださった。その内容が、私が日頃から娘に言っている言葉ばかりだった。

すごいな。彼女の子育ては何十年前か。生きた言葉がけをしていただいて、自分の育児が、これでいいんだなと思えた。育児が上手くいかない時の、誰かの声がけは、ほっとする。独りで背負っていた大きな荷物を半分下ろしたような。

おせっかい。全然、余計なおせっかいじゃない。この街のご老人たちは、よその子を孫と思って声をかけている。

ほとんどの家庭が核家族、子供の祖父母がいない子育て。出産とは、新入社員がいきなり人の命を預かる業務に就くようなもの。研修は無いし、自分で学ぶ時間も無い。トイレ休憩や安眠の確保も無い。外へ出れば当たり前に、お母さん、と呼ばれる。なったばかりなのに。私はそこから8年。

育児世帯が地域と交流する仕組みが出来たらいいな。子育て家庭を支援することが一番の未来づくり。