オーケストラ『おどるこねこ』の鑑賞文を書こう
小学一年生の息子が持ち帰ったプリント。珍しく、特に宿題とも何とも言われず、ただ持ち帰ったようだ。本人に聞いてもうやむや。授業中に提出せずに持っていただけかもしれない。音楽で、鑑賞文を書くもの。
これ難しいよね。簡単に書く人と、全く書けない人、完全に分かれる部類の課題。
出すように指示は無いようだけど、夏休み前に必ず書いて提出するようにと、私は言った。すでにうんざりかもしれないけどね、と言いながら、その曲をYouTubeで検索してもう一度聴かせ、何を書けば良いか教えた。これは鑑賞文といって、どう感じたとかいうよりも、何をあらわしていると思ったかを、なにがどうして、どうなった、と2行程度で説明すれば良い、正解は無いんだ、と。
そう説明して、私は下の子を園に迎えに行った。帰宅すると、息子の姿はなく、ベッドの毛布が妙にこんもりしていた。
息子を毛布から引っ張り出し、紙に向かわせること30分。
こじれると状況は悪化するので、私の考えを、もう一度YouTubeを聴きながら語った。ママが思うのは、可愛い子猫がニャオ、ニャオ、って、ピョコピョコ飛び跳ねてじゃれ合っているかな、と話すと、息子が、「ねてる、って言ってた人もいたんだよ。」と言うので、私は少し驚いて、もう一度聴き直して、あぁ、たしかにそう、そうそう、子猫はすぐに眠くなるね、ときどき眠くなって、そこへ急に犬が吠えてびっくりして叫んで逃げた、と。
とりあえず最初のひとことを、と促すが、依然として、ぼんやりする息子。ずいぶん経って、ようやく取り掛かり、「ちいさいねこ」まで書いたが、進まず。しばらく放っておいたが、息子は横になってゴロゴロ。
私は、メモに要素を箇条書きにし、これはあくまでもママの感想だから、じゃあ、この中で共感できるものがあれば2つ選んで、自分の言葉で良いから書いて、終わりにして、遊びな。と伝えて、しばらく放置。さらに30分、イスから転落したような姿勢で固まる息子。
じゃあ5分休んだら。ただし終わるまで遊べない、と伝えると、息子はベッドから枕と毛布2枚を持ってきて居間の床に敷いて潜り込んで横になった。なかなか優秀な休憩方法だ。
それから、5分経って、YouTubeの交響曲で起こすと、そこから少し経って、ついに、
「ちいさいねこ が、ねむくなった。いぬがほえた。」
と書けた。抱き合って大喜びした。簡潔な鑑賞文だ。曲の題名は『おどるこねこ』なんだ。子猫が元気に飛び跳ねましたとか題名のまんまで書いていないところが、しっかり息子本人の文章になっている。
息子はこの課題に、帰宅してから3時間ほど費やしたが、その間、一言も私に文句を言わなかったし、もういいや、とも言わず、遊び始めたりもせず。ものすごく自分でやりたかったんだと思う。でも自力でやれることには限界があって苦しんでいる。他の子は教室で当たり前に、周りの子と話し合ったり、よその子が何て書いているか見たり、自宅ならば、できないからママが考えてよ、と言うのだろう。
そんな息子の不器用さを、そのままに伸ばしてやりたいと思う。
ちなみに、学校で使用している算数ドリルが半分以上空欄で、息子は教室ではなかなか取りかかれないから、やり残してしまうんだけど、つい先週、突然大量の付箋が付いていた。息子はそれを、取り掛かるのに1時間かけ、7ページほどを30分で終え、飛び上がって喜んでいた。その翌日も同じく。先生も驚いていた。一気に授業に追いついて、一学期終了。算数は答えが明快で、取り掛かりさえすれば、息子にとっては気楽だ。さすが担任の先生。よく分かって下さっている。