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今どきのダメ母はどこにもいない

 

「今どきのダメ母」って、どこにいるんだろう。私はまだ出会ったことがない。身の回りのママさんは、みんなよく頑張っている。20年くらい前には、残念な人をちらほら見かけたような気がする。自分が成長したのか、自分の環境が変わったのか、それとも世の中が変わったのか。

20年前には、電車に乗っていると、子供たちが、降りる人を無視し、割り込むように電車に乗り込み、空いている座席を見つけるとそこへ全身で寝転がり、「お母さーん、席取ったよー。」と叫んでいたものだ。車内で化粧をする人もいたし、ヘッドホンから音が漏れている人もいた。携帯電話は存在しなかった。

私の置かれた環境が変わったのもあるだろうが、世の中は確実に変わったと感じる。20年前のお母さんたちは、電車内のマナーに気付くに至るだけの育児情報がなかったし、バリアフリーも何もない駅で、たまに子供を電車に乗せて出かけるとなると、気が回らなかっただろう。

そんなお母さんたちを見て育った人たちが今、母親に。大半のママさんたちは、子供を連れた自分の存在が迷惑に思われているかもしれないと感じていて、申し訳なさそうにしているか、感情を閉じているか。育児に対する世の中の誤解が多いと感じているのではないだろうか。

子供を連れていれば、目立つので、何をしても批判の対象になりやすい。新幹線で、子供をきつく叱れば虐待、開き直ればマナー違反、頻繁に退席すれば邪魔、黙るようにゲーム機を持たせれば育児放棄。

子供は普段からしつけていれば、公共の場では大人しいはずだ、という誤解。大人しい子はしつけなくても大人しいし、うるさい子はどうやってもうるさい。感情コントロールや状況理解を、早く身につける子も、遅い子もいる。きょうだいでも違う。

ママさんは、出産前に母親学級などで母親としてのしつけをされてから出産したわけではないし、子育てを勉強してから妊娠したのでもない。母親をしつけてくれるところなど、どこにもないのだ。

都会では、近隣も他人。周りの人が教えてくれることもなく、赤ちゃんを生めばいきなり批判にさらされる。いや、ママさん本人が、批判されている、と感じて自分を裁いている。自分が世の中の母親というものを批判して育ったからだ。

生後1か月の赤ちゃんをベビーカーに乗せて、1か月前にお母さんになったばかりの人が、出かけていく。初めてのお出かけ。周囲のどれだけの人が、そのことに気付いて、見守っているだろうか。

私は、出産前にほとんど子供なんて見たこともなかった。大手町に行くと、ビジネスマンばかり、病院に行くと老人ばかり、スーパーに行けば主婦ばかり。子供を生んで初めて、周囲が育児世帯ばかり。新米パパでさえそのことに気付かないで、仕事を休んでいる妻は楽をしていると思っていたりする。まさか仕事をしている方が楽だとは、想像もしない。

人間というものは大半は、周囲の状況に無関心で、想像力を欠いているもの。みんなで気付ける仕組みは、後から少しずつ追いついてくる。気付かれなかった人々の思いをもとに。