私の大好きな世界
6年前、息子が生まれたことで、
私も生まれ変わった。
こんなにも親密に私を愛してくれる人がいる。
愛は生きるエネルギー。
今までの私の人生でこれほどまでに、
自分が幸せにならなければと思ったことはない。
出来損ないの自分を何とかしなければと真剣に思う。
そして余計に疲れたりもするのだが、悩んではいない。
へこたれてはいられない。
4月に息子は6才になった。園では年長だ。
園の誕生会では、誕生月の子供たちがそれぞれの演目で登場。
息子は、大きなハチを工作で作って発表した。
お友達と一緒に考えて工夫して、体の構造も正確に、
尾の針もモール針金を使ってチクッとした感触に作ってある。
年長園児ひとりずつ、何か一芸、とのことで、息子は大縄跳びに挑戦した。
運動の得意でない息子だ。私は、縄跳びくらい誰もが飛べるのではないかと、
正直そんなに期待していなかったし、教室の大部屋内でどうなることかと思ったが、
本番で息子は、年少から年長の全園児と先生や保護者たちの前で、
見事に11回飛んだ。
室内での大縄跳び、かなりの迫力があり、会場は大歓声。
よくやった、と思った。
練習では8回だったとのこと。そのことに感心した。
息子は緊張する素振りもなく、堂々として、常に笑顔だった。
私が思った通りの息子だった。
以前からよく、その大部屋に大勢で集まっての行事で、
緊張しやすい、と先生から言われていた。
そのたびに、緊張ではなく、過敏体質なので密室は体に良くないと
伝えるのだが、あまり納得してもらえたことがなかったのだ。
たしかに、そう言われても仕方のない、感性の敏感な子だ。
ちなみに、私もその部屋に入ると具合が悪くなる。
息子には、体に悪いもの、不自然なものを自分で感じる力があるようだ。
偏食は相変わらずというか、4月の予防接種の後、さらに過敏性が増した。
息子はクリニックで注射を受ける際、まるで赤ちゃんのようにひっくり返って
かんしゃくを起こして泣いた。こんなに取り乱した息子は久しぶりに見た。
息子がこんなに反発するということは、注射はよほど危険だということだと思う。
私が飲む薬でさえ、いちいち許可したり、禁止したり、
細かく正確に副作用を解説したりする息子だ。
すべて日々の観察と分析による判断なのだろう。
その後の息子は、数か月にわたって、人が変わったように
やる気がなくなり、泣くようになり、わがままを言うようになった。
歩けない、足が痺れる、お腹が痛い、など、神経症状を訴えるようになった。
私の観察では、眼球の動きが悪い、飲み込みにくい、消化不良、全身脱力気味で
表情が引きつる、血行不良、要するに自律神経が悪い、そんなふうに見えた。
5才の一年間は、そんなに悪くなかった。5才では予防接種を受けていない。
予防接種を受けるべきか、私にはいまだに分からないが、
集団生活なので、今のところは全部受けてしまった。
受けない方が良かっただろう、とも思う。
個人的な感想だが、仮に乳幼児の予防接種をすべて廃止したら、
発達障害と言われる子供は少し減るだろうなと思う。
現在の子供たちは、生まれた時から1か月ごとに次々と2~3種、同時接種を受ける。
予防接種の内容のほとんどが、自然に感染しても問題ないと思われる。
春に、二度の遠足。
重度乗り物酔いの息子が、今回も笑顔でバスの最前列に乗って出かけ、
元気に帰って来た。遠足は、朝食後、ちょうど落ち着いた頃に出発するのが
良いのかもしれない。息子ともそう話して、今後、乗り物に乗る時は、
必ず軽く食事をして落ち着いてからにすることにした。
今までを振り返ると、着いたら食事をしようと、空腹で乗り物に乗る、
というのが良くなかったと思う。
息子本人にも、どうしたらうまくいくか自分で考えてね、と話している。
分析は息子の得意分野だから。
息子は何事も、観察し分析し、記憶することが好きだ。
まるでコンピュータのデータベースのよう。
息子はそうやって天気を予想できるし、
どんな食品に添加物等の害があるか、
どういう時に体調が悪くなるか、
幼児ながら、自己管理しようとしている。
この世界に、安全な食べ物など、ほとんど無いらしい。
私は、息子の重度偏食を責めることができない。
息子は自分で考えることが好きなようだ。
子供がよく言う「なんで」「どうして」を言わない。
「これはねえ、きっとこうなんだよ、」と、自分の推論から入る。
私があまりに世間知らずで頼りないので、たくさんのことを教えてくれる。
子供らしい空想もありつつ、おおよそ現実的で、
自分でうまい答えが導けると、目を丸くして足踏みをして喜ぶ。
ゆっくりした大きな声ではっきりと、熱心に伝えるように話す。
スーパーでリンゴを買う時に、美味しそうなものを息子に選んでもらう。
そうすると、息子はひとつひとつ手に取り、くるりくるりと
リンゴを裏返し、「これにする。」と選ぶ。
いつもどうやって選んでいるのか、その手つきが不思議で、聞いてみると、
「えっと、上が赤で、下が黄色。全部が赤じゃない方がいいんだよ。
こやって、ひっくり返すと、黄色。」と言う。
まんべんなく色づいてるものは良くないらしい。
なるほど。言われてみれば、そうかもしれない。
倉庫で熟したリンゴは色むらが少ない。
枝で日を浴びて熟したリンゴは色の濃淡がはっきりしている。
大人になると、そんなことも想像できなくなってしまうのだ。
息子はよくコンパクトカメラで自分で写真を撮る。花や動物の写真。
まるで写真家のように、狙って、試行錯誤して、時間をかけて撮っている。