:: rainbowdrops ::

2才の丸一日

 

「しゅんちゃん、おはよう。一緒にあそぼー。
 蹴っちゃったらダメだよー。」
と言って起きる。まだ何もされていないのに、一言多い。
上の子が、「ワンワン。おかあちゃーん。」
と上手にぬいぐるみ遊びの相手をしてくれて、
二人でおままごと道具を出して料理をし、
ぬいぐるみに食べさせている。

かと思ったら、
途中から太い掛け声が聞こえてきて、
見ると二人でウルトラマンや仮面ライダーの
フィギュアを戦わせている。
「しゅんちゃん、ケンカしたらダメだよ。分かった?」
と、また先回りして一言多いが、
一緒に遊ぶと少し高度な遊びが出来るし楽しいので、
娘は上の子を尊敬している。
上の子のようになりたいと思い、よく真似をする。
簡単に真似できるということは結局、似た者同士だ。

朝食の時もずっと子供二人でしゃべり続けて笑っている。
娘が「こぼさないようにね。」と、ときどき口うるさいので、
上の子が「シーッ!」としたら、
娘も真似して「シーッ!」として、
上の子が爆笑。
「りんちゃん!鼻ほじってるみたいだよ!」
何度やり直しても、どうしても小さな指が鼻に入ってしまい、
いつまでも笑って食事が終わらない。

歯みがきの仕上げみがきは嫌い。
でも娘の場合は、歯みがきそのものよりも、拘束が嫌い。
歯をみがくことそのものは問題ない。
その気になったら自分から来る。
だから、上手かなぁー、と言って待ってみる。
どうにも時間切れの時は、強引にせず妥協。
そういう状況が何日も連続することは、今のところ無い。
頑張らせるのではなく、やる気を出させるように、心がけている。

私が娘の朝の着替えを出すと、
「それじゃない。」と、自分で引き出しを開けて、
「うんうん、これ。ピンク。」と選んでいる。
ピンクやフリルのものが良いらしい。
指先が器用で、ボタン止めは早い。
手伝おうとすると、全部脱いでやり直す。

玄関で、「ママとおててつなげる。」と宣言するので、
約束して家を出ると、すぐに手がもぞもぞし始め、
手を離して走り出す。つかまえて手をつかむと、
地面に寝そべってイヤイヤする。
「イヤイヤヨー。」と歌う。
遅れると困るし、上の子も困るので、抱っこして連れて行く。
抱っこすると暴れて泣く。
重くなってきたので、割り切って最初からベビーカーを出すこともある。
1才から通園しているだけで、子供なりに十分頑張っている。

保育園では、いつもニコニコして先生の言うことをよく聞き、
頑張って手もつないで散歩に行き、給食は残さず食べて、
一人でトイレに行き失敗も一度もなく、一人で着替えをし、
素早く自発的にお片づけをし、先生の手伝いもし、
お友達に横入りを注意までしているらしい。
家とはずいぶん違うものだ。
そのことに対して特にストレスも緊張もなく、
先生に誉められることを期待して意気揚々とやっている。

娘が家で言うことを聞かないのは、
私が娘の話をよく聞いていないからでもある。
娘と一対一でじっくり向き合う余裕は無いのだ。
上の子の時は、子供二人が同時に話す場面は無かった。

保育園から帰ってくると、靴を揃えて脱ぎ、
一人で手を洗う。私が手伝う余地もないくらい、
きちんと手際良く洗っている。

食事の時間が待ちきれず、いつも先に一人で席に着き、
全員分の箸などを配っている。
一品でも出すとさっさと食べ始める。
大皿は置けない。全部食べてしまう。
スプーンを出すと、箸を要求する。まだうまく使えないが。
補助付きの箸も気に入らない。

何でも「パパがいい」は相変わらずで、食事も途中から席を立って、
すごくニヤけながら「りんちゃん、パパのおひざがいいの。」と、
膝に乗ろうとする。夫がいなければ、
「ママ大好き。チュッ。」と私に何度も抱きついてくる。
使い分けている。

風呂上がりは、自分で体を拭く。
ただ、上の子が一緒でないと、
「おばけがこわい」と言って一人では上がれない。

私が、あ、誰も見てないね、とテレビの電源を切っていると、
突然、娘がパパを探して走り回り、見つけると、
「パパ!テレビ付けたままで、お風呂入っちゃったらダメだよ。
 ちゃんと消さないと、分かった?ねっ。」
と私が薄々思っていることを、はっきりと代弁してくれる。
私はそんな風に言わない。

二人目は早いでしょ、女の子はませてるでしょ、と言われるが、
娘は娘。
それに、その理論は主に「お母さん視点」だと思う。
何もかも初めての第一子よりも、第二子以降の方が
時間の経過が早く感じるし、第一子はよその子と比較し、
第二子以降は上の子と比較するので、成長が早いかのように見える。
でも、よその子を見る限り、成長の差はそれほど感じないし、
うちの子供たちも、記録を見ると意外に似たり寄ったりだと気付く。
明らかに違うのは、お友達との交渉力。
第二子以降は友達に堂々と文句を言える子が多い。

女の子の成長が早いかどうかにしても、幼児の時点では何とも言えず、
お母さん自身が女だという要因が大いにあると思う。
男の子はいつまで経っても、お母さんのようにはならない。
そういう切り口で見ると、男の子は不器用に見える。
男親から見たら、お人形やおままごと好きの方が
幼稚に見えることもある。

娘は寝る前、「ねえ、一緒に笑おう。」と言って、
ぎゅーっと私に顔を寄せてにっこりと笑う。

そしてある日は、私の顔をまじまじと見つめ、
「ママかわいいねえ。」とずいぶん感情を込めて言って、
私の頭をなでると、チュッとした。
誰から学んだでもなく、自然に出るその態度は、
娘から私への全力の応援なのだと思う。
この人も、私のことをお腹の中からずっと見てきて、
生まれてからも私の人生と同期し、私の記憶を抱えて生き、
まだ私の存在が全てなのだ。そんな、2才。

大人は、特に親になると、人から可愛がられたり
保護されたりすることは一切なくなる。
誰からも誉められることなく頑張らなければならない。
そのことを、娘は誰よりも理解して、
いたわりをもって見ている。
たまには親子の立場を逆転しても良いと、子供の側から言うのだ。
そのことに甘えて良いのか戸惑うが、
まだ2才だからこそ、素直に娘に感謝しても良いのだと思っている。


2才の趣味趣向 >>