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続・大人4分の1

 

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息子は、5才の手前でようやく喘息の一種との診断。
3才の誕生日頃から、毎日の咳き込み嘔吐があり、
あちこちの医者にかかったが原因が分からず、
私が自分で調べて医者に話し、確認してもらったものだ。
0才の時にも一度ミルクアレルギーの相談で受診している。
今まで、お母さんの安心のためにアレルギー検査をしますか、
と何度も言われた。
さまざまな物質に対する過敏体質だと思う。
予防接種、投薬、添加物、農薬、大気汚染、化学繊維など。

アレルギー止めの薬を飲むと、症状が治まるばかりでなく、
好みが変わってピーマンを進んで食べるようになり、
全体的な過敏性が和らいだように思う。
重度の偏食少食も徐々に治まり、
生活全体に意欲が出て、行動もずいぶん早くなり、
ぼんやり寝転んだり、体をくねらせたりしなくなった。
体格もしっかりしてきた。
空気清浄機も買って置いてみた。
イオン発生が初期設定となっていて、それで逆に調子を崩したので、
設定を変えなければならなかった。イオンも化学物質。

偏食に関しては、息子の場合は、
アレルギーと感覚過敏によるもので、
頑張って食べて克服するものではないと思う。
体質改善と成長あるのみだ。
薬が大嫌いなのに、アレルギー止めだけは美味しいと言って飲む。
よほど体に合っているらしい。
無理して頑張って飲んだ薬は、かえって体調を崩すことが多い。
よく精神的な問題に置き換えられがちだが、
体に合わないことを本人がいちばん分かっている。

嫌いなものは、調味料と飲み込みにくいもの。
体に合わなければ嘔吐。苦しい思いをしている。
本人なりに除去食を実行した結果、
食べて良いものはほとんど残らず、
仕方ないから、白米と焼魚と果物だけを食べておこうか、
という行き過ぎた健康志向が、息子の偏食だ。
本人にしてみれば、いかに食物は危険で、
人間が食べて良いものが無いか、ということだと思う。

スーパーで息子に食品を選ばせると、
添加物の少ない食品を教えてくれる。私よりもずっと詳しい。
ただ、子供なので、パッケージの楽しいものを選んでしまって、
「なんか変なにおいがする。」と食べないこともときどきある。
子供向けのキャラクターの付いたものはダメなことが多い。
最近は、徐々に何でも食べるようになり、
食べる量もだいぶ増えた。

性格は、神経質とは違うし、物事の好き嫌いも少ない。
几帳面で、真面目で、努力家だ。
一般的な、好き嫌いをする子、のイメージとは逆だと思う。
それに、体調が悪くても、いつも笑っている。
体調が悪いことに慣れていて、明るく振る舞っている。

保育園では、年中組。
初めての春の遠足があった。
初めてのお弁当には、
おにぎりと、卵焼きと、タコのソーセージと、
プチトマトとキュウリと、いちご。
動物園へ行くので、動物のピックを可愛く刺しておいた。
初めてのお弁当を写真に残したりはしなかった。
息子には重度の乗り物酔いがあり、
それほど遠くへ出かけるわけではないとはいえ、
元気にお弁当を食べて帰ってくることを、
私はそれほど期待していなかった。
先生には、乗り物酔いに加えて、
車のような密室と人混みでの貧血症状があると伝えた。

息子は、大きな観光バスの一番前にちょこんと乗って
先生と笑顔で手を振り、出かけた。
乗り物酔いがあることを自覚しているわりに、
車好きで、車に乗ることが大好きだ。
懲りない。自分の弱さを顧みない。
夕方迎えに行くと、全く問題なく元気いっぱいで、
「卵焼きだけちょっと残した。」と言う。
それ以外はぴっかぴかに食べてあった。
乗り物酔い対策として、卵やソーセージはどうかと思っていたが、
彩りで入れたのだ。
本人はそのことを知らないが、普段から食べ物に敏感なので、
本能的に気付いたのかもしれないと思った。
家に帰ると、嬉しそうに動物の話をした。

保育園の参観に行った。
たくさんのお友達に囲まれて楽しそうに遊んでいた。
誰にでも積極的過ぎてお友達が付いてこないことはあるが、
笑顔が多いので嫌われてはいないようだ。
お友達とはよくウルトラマンごっこをする。

給食は、一人ずつ自分で配膳し、量を減らすかどうか聞かれるのだが、
息子は、「減らさない。」と首を横に振った。
実際のところ、半分くらいしか食べられないことが多いらしいが、
負けん気だし、参観で良いところを見せたいし、
実際に最近は体調が良く、いけそうな気がしたのだと思う。
最後まで一人残って、先生が付きっきりで、笑顔で黙々と食べていた。

投薬前までの給食では、ときどき一口嘔吐しながら食べていたらしい。
嫌いなものでも一口食べてみることは大切ではあるが、
息子はこれ以上頑張ることは何もないと思う。
今は大切な発育の時期なので、量をしっかり食べてほしいと思う。

好き嫌いそのものは心配していない。
成長して体調さえ整えば、何でも食べるだろう。
栄養のバランスや健康管理には
誰よりも細やかな大人になるだろうと思う。

ちなみに息子は、数字にこだわりがあり、
数を数えながら食べる。
「今日のりんごは、8コだった。あと1コもらったら、9コだよ。」

5才になって、
赤ちゃんの頃の感情の激しさは目立たなくなり、
人からは、おっとりして穏やかな印象だと言われるが、
心の奥の強さは健在だ。いつも前を向いている。