人間のはじまり
4月に4才になった息子。
4才になると、人間は動物でなくなるようだ。
3才を過ぎた頃から一気に、理性が本能に勝ってくるのだ。
物心がついた、ということだ。
最初は母親の一部だった子供が、
一人の人間として生き始める歳でもあると思う。
息子はもう私とは別の人間で、私もはっきりと
この人は他者なんだと認識できる。これは本当に最近のことだ。
それまでは、二人で一つ、一緒にいても一人でいるのと同じで、
黙っていても思いを共有することができた。
最近それが急になくなった。
寂しくはない。いつも側に話し相手がいて、
自分に無い意見を言ってくれることが心強い。
性格は、3才の時に書いたものと何も変わっていない。
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息子が生まれた時に私が感じたことも、変わっていない。
私は、この人の母であることを誇りに思う。
それと同時に、息子の生き方を記録し、伝えたいと思う。
息子の話を、人間のはじまりの姿を、全部形にしたい。
息子が生まれた時に、強くそう思った。
息子は、生まれたときから、私のすべてを知っていて、
私を助けようとしてくれている。私が何を感じて生きてきて、
どういう時に何をどう思うのか、知っている。
それだけではない。私にとって息子は、
今まで誰とも共有できなかった思いを共有できる人だ。
生まれた時は3.1kgだったのが、4才で16.8kgに。
3才を過ぎてからだいぶ細身になり、
今は背が高い方でやや痩せている方だと思う。
私の小さい頃と同じで、顔だけが太って見える。
車が好き。特にスポーツカーや海外の高級車。
ブロックで遊ぶのも好きだ。
外ではしっかり手をつないで歩けるようになった。
手を離しても、隣を付いてくるようになった。
スーパーへ買い物に連れて行けるようになった。
むしろ、一緒に行って欲しいと思うようになった。
店内を走り回ることも、勝手に商品を見たがることもなくなり、
「今日のごはんはカレー」などと自分から献立を決めてきて、
「にんじんとじゃがいも」と、必要な具材まで選んで取ってくれて、
「牛乳は買わないの?」と買い忘れチェックまでしてくれる。
体に悪いものを食べたがったりはせず、私が選びそうなものの中から
最近なかったものを思いついて言ってくれている。
私の思考回路に、拡張機能が付いた感じだ。
食べることが誰よりも苦手だった息子が、
保育園のクラスの集会で、誰よりもきちんと座って食事をして、
ごちそうさまをしてから大興奮で遊んでいる。
ずいぶん落ち着いたものだと思う。
人からは、おっとり、とよく言われるが、
本人の意識としては、そういうつもりがないだろうと思う。
内面の強烈なエネルギーを、外では出していない。
私に甘えるようになった。
何でも「パパがいい」とか、「自分でやる」とか言っていたのが、
ときどき「ママがやる」と言うようになった。
甘えを断ち切っていく年齢なのだろうが、
息子の場合は、今まで甘えを表現することが苦手だったのが、
ようやく出来るようになってきたという経緯があるので、
その甘えは、しっかり聞いてやっている。
朝出かける時は靴を履かせてやったりしているが、
本当は自分でやりたいことも、私はよく知っている。
毎日が大急ぎ。
行動が遅いため、朝夕の支度が大急ぎになる。
寝るのまで遅くなってしまうので、こちらも必死だ。
せかしても早くならないばかりか、余計にのんびりして見えるのだが、
焦って行動が固まり、物事を順序だてて考えることが
より難しくなっているのだ。かなりのストレスだろう。
そういう時は、しっかり甘えを引き出してやり、
やる気を起こさせることだと思っている。
「○○ちゃーん、一緒に遊ぼう」と、
下の子と積極的に遊ぶようになった。
歳が近いし、男の子はあまり世話をしたがらないかと思い、
兄としての振る舞いは特に求めていない。
対等な兄妹として育てている。
誕生日には、ミニカー2つで満足。
2つも、というだけで十分特別らしい。
妙に模範的なところがあり、こちらが拍子抜けする。
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