:: rainbowdrops ::

故郷の音がする

 


(2003.04)

今ふと気がついたのだが、私は生まれたときから
ずっと首都高速の近くに住んでいる。何度も引っ越しているが。
最初は横羽線の真ん中、次は狩場線のその先、もう一度その近くで、
その次は横羽線のもう少し北、そして今は湾岸線が目の前に。

首都高速のうなる音、これが私の故郷だ。
故郷が恋しいわけではないし、二番目の家を思い出すと
なぜか薄暗く恐ろしい。理由は分からないが。
それでも、高速道路の音に包まれる静寂にも似たようなこの空気が好きで、
いつも赤ランプの並ぶ渋滞を独りで黙って見ていた。
そっと独りで側まで見に行っていた。
今は毎夜、家の窓を開けて、目を閉じて見ている。



(2004.03)