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続・乳幼児の偏食はわがままじゃない

 

必死で頑張っている人に対して努力不足を指摘すること
ほど愚かなことはない。
さらには、その努力すべきポイントが勘違いであるとなれば。

いい加減に育児をやっている親も世の中にはたくさんいるのだろうが、
ものすごく頑張っている人はもっとたくさんいる。
その人たちに対して、不確実な情報を根拠に、
親として不足があると、本やインターネット、
あらゆるところで非難し、それが一般に広く正当化されて
誰も間違いを正さない、そんな場面に数多く出会った。

食いしん坊のお子さんを持つ友人に、うちは全然食べなくて、
という話をしたら、どうしてもお母さんの習慣でねえ、
と言われた。彼女の言うことは間違っていない。
間違っているのは、世の中。
どこにでも書いてあるのが、
「何よりもまず、お母さんの好き嫌いをなくしましょう。」
「調理や味付けをもっと工夫しましょう。頑張るのはお母さんの方です。」

1才や2才の子供というのは、目の前にバナナを出して、
みんなが席に着いたら食べようね、なんて言っても無駄だ。
もしもバナナが好きなら、必ず手が伸びる。だから遠ざける。
すると、もらえるまで泣き続けるのだ。
バナナとご飯を同時に出したら、必ずバナナから食べる。

生まれて初めて出したサクランボに、飛びついて食べる。
一度も口にすることなく、それが甘いことを知っている。
子供をあなどってはいけない。
大人の持っていない能力をたくさん持っているのだ。
一度も食べずして、ほとんどの食材の味を知っていると思われる。

赤ちゃんの味覚は未熟、と言われるが、実際には発達している。
お母さんの母乳の味で、お母さんの食べたものまで分かってしまう。
分かっていても反応が少ないだけだ。

乳幼児がその食べ物を、食べたいか食べたくないかは、自分の直感による。
親の偏食の影響で食べた経験のないものが食べられなくなったりはしない。
周囲の影響で食べる子は、基本的によく食べる。
離乳食の濃い味が原因でもない。
濃い味の家の子が、食いしん坊だったりする。
どの程度、目の前の食べ物を警戒し、どの程度、食べたいものを主張するか、
という度合いには個人差があるが、それも生まれ持った性質だ。
産声のあまりに激しかった子が偏食になったりする。
動物的本能と先天的性質あるのみ。

乳幼児の夜泣きや病気がち、小柄な体格なども、
ほとんどが生まれるまでに決まっている。
お母さんがよっぽど非常識なことをしたのでない限り、
育て方が原因ではないし、どんな育て方をするか自体も性格的遺伝の範疇。
にもかかわらず、お母さん次第で子供が変わる、良い子が育つお母さんの習慣、
というような題名の本や雑誌が何とたくさん売られていること。

多くのお母さんたちはきちんとやっている。
もう十分ではないか。
お母さんはスーパーマンではない。