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五月病

 

子供でも五月病になる。
保育園でいろいろ気を遣って我慢しているのだろう。
子供が生まれるまでは、こんな小さな子供が
人に気を遣うものだということが想像がつかなかった。
でも今は、息子の心の動きや行動が、前もって想像がつき、
私の思った通りに進んでいくのだ。

ゴールデンウィークに入る二日前から、
家に帰ってくるなり、ギャァーッと変な叫び声をあげて
のたうち回って泣き出すようになった。
今までも泣くことはいくらでもあったが、明らかに様子がおかしい。
保育園にいる間は機嫌良く穏やかにしているようだ。

息子はもともと穏やかな性格ではない。
家では、喜怒哀楽が激しく、猛烈に機嫌の良いことがほとんどだが、
少し思い通りにいかないだけで、床にひっくり返って泣く。
私は、息子のその姿が嬉しい。
私が幼かった頃は、自分の感情など表現できなかったから、
感じたことを表現できることが輝かしく見える。

息子は外に出ると全く泣かない。
出会う人に笑顔で挨拶をし、静かに笑っているのだ。
保育園に入って、一日中静かに笑っていたらおかしくもなるだろう、
一か月もつだろうか、と入園時から思っていた。

おかしくなってきたところでゴールデンウィーク、
その一週間後がピークだった。
見送りの時に、私の顔を見ながら先生の前でギャァーッと絶叫した。
やっと泣けた。よかった。
それから何日か、保育園にまだ慣れない子供みたいによく泣いた。

今はもう元のように笑顔で通園するようになった。
でもきっと変わったのだろう。
人との本当のコミュニケーションが
息子の心の中では始まっているのだ。

家でも、書類をプリンタから取って渡したり、
飲み物を「ママ、はいどーじょ」と、
自分が飲む前に取ってくれて、一緒に飲もうとしたり、
人のために何かしようという気持ちが大きくなっているし、
おもちゃをよく片付けるようになった。
新幹線のおもちゃも、遊び終わると、
きちんと元の状態に戻して買った時の箱に入れる。
使い終わった体温計も、ケースに入れて引き出しにしまう。
食べ終わった食器は、大きい順に重ねて、スプーンを一番上に置く。
開いているドアは閉める。私のために体重計の電源を入れてくれる。
キッチンの吸盤が落ちたのを元通りに貼り付けてくれる。

そんなことは一切しつけていないし、頼んでもいない。
息子が自分に出来ることを自分で探し、自発的に行動している。
家ではわがままで良いんだよ、と思うけれど、
その姿を見ると、子供なりに外で頑張っているんだなあと、
ひたむきで懸命な姿勢を微笑ましく感じる。