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買い占めは本当にあったのか

 

「買い占めはやめよう」と聞くたびに、何とも言えない気持ちになる。
私は、報道内容と現実がずいぶん食い違っていて、
実際には買い占めなど言われているほど無かったと思っている。

ニュースでは「世界中から震災での日本人のモラルの高さが
絶賛されたばかりなのに、自分ばかりよければいいと考える
首都圏の消費者は恥ずかしい。被災地にモノが届かない状況があるのに、
何を考えているのだ」という首都圏批判。
そして空っぽの棚を撮影したものが何度も放送された。
あたかも大半の人が買い占めを行っているかのように。

買い占めをした人は、たしかにいたのだろうと思うが、
ごく一握りの人だったと思う。私は毎日スーパーに行くが、
地震直後、大量に物を買っている人など一人も見なかったからだ。
たしかに、トイレットペーパーや電池を買う人が多いとは思ったが、
一人でたくさん抱えていたわけではない。
それよりも気になったのは、普段なら常に次々商品を乗せたカートが
店内に入ってくるところ、肝心の従業員が出社していないと見られるし、
輸送のトラックもほとんど走っているのを見かけない。
みんなが出社できず、町中ががらんとしているのだ。
それに対して、普段は買物に来ない男性客の多さ。
一部の人がたくさん買っているというより、全体に客が多い。
棚の商品が少なくなってくると多くの人は、じゃあ一つ買っておこう、となる。
その後も、東北方面からの物流がないので、引き続き物は少ない。

それともう一つの問題は、
首都圏にも3日間以内に70%の確率でM7クラスの地震が来ると
政府が発表したこと。
それは事実なので仕方がないが、首都圏の人々にとって、
報道で見る災害の状況は、明日は我が身だった。
被災地に無関心なのではなく、全くその逆だ。
そうしたらたいていの人は
普段より少し多めに買い物をして備えるだろう。
多くの人は家族がいる。赤ちゃんのオムツやミルクがなくなっても良いのか。
それだけは絶対に困る。子供のものだけは何とか、と誰もが思っただろう。
それでも、首都圏には備えの万全な家庭も多い。
我が家も一週間くらいは困らないだろうと思う。
だから、買い占めといっても、
普段二日おきに買い物をする人が二日連続で買い物をしたり、
その程度のことだったのではないかと思う。
もちろん首都圏の人々にも災害による強いストレスはあったと思うが、
報道されているほどパニックはしていない。

それを報道では、あたかも物流は普段どおりで、商品の不足はないような
状況をわざわざパネルで見せて何度も説明するが、
私は現にスーパーで毎日買い物をしている。
それを見る限り、圧倒的に入荷が少ないのは一目瞭然だ。
牛乳なんかも、見たことのないメーカーのものばかりで、
一切商品を出していない大手メーカーが多数ある。
今現在、不要な買い物をする人は本当にいなくなっていると思うが、
無い物は無い、という状況は変わらない。
スーパー側でも早くから配慮して、翌日には既にお一人様1点となっているが、
それでも物は無いのだ。

それを買い占めが原因と言われるのは報道の捏造だ。
東京に住む芸能人までが報道で、買い占めはみっともない、
なんて発言する。たぶんこの人は自分で買い物を
していないんだろうなと思ってしまう。

首都圏の人々は被災地の方々のために本当に頑張っている。
多くの人が義援金を払っているし、物資を届ける活動も
多数起こっている。卒業式や結婚式などの祝い事も次々中止となっている。
節電も一生懸命で、我が家も一切暖房を付けていない。
みんなの節電の成果で、少しでも停電を減らすことが出来ているようだ。
その思いが被災地の方々に伝わらず、このような
「買い占め」という形で伝わってしまっているのが悲しい。