生後12か月の育児日記
1才になって、変わったこと。
私が変わった。
母乳育児の終了にともなって、2年近くぶりに戻ってくる自由な食生活。
お酒も飲める、コーヒーも飲める、
栄養を考えて牛乳を飲んだり野菜を食べたりしなくてよい。
子供のアレルギーも意識しないし、薬も飲める。
何も寂しくはなかった。
残ったのは、息子の満足げな顔と、母乳で育て上げた自分の満足。
母乳は、9か月で3回、10か月で2回、11か月で1回、12か月で終了、と決めて、
フォローアップ用の粉ミルクに置き換えていった。
最後は、息子が自ら、要らない、となり、
私も、全部飲んじゃったね、と褒めた。
息子の誕生日の前日だった。
生む前から、粉ミルクとの混合栄養を希望していたけれど、
完全母乳で頑張っているママさん達は多いようだ。良いことだ。
私は、母乳はよく出ているものの混合で、それはそれで良かったと思う。
何よりも、夫が育児に参加できる。おかげですっかりパパっ子だ。
出先での授乳にも一切困らないので外出に積極的になれるし、
託児に預けられるし、私が病気した時も困らない。
性格は突然甘えん坊になってきた。
人見知りも日に日に激しくなっていく。
人には十分に慣れているけども、
初対面の人に抱っこされると、必死でママを求める。
自分とママとは別々の人間で、いつでも側にいるわけではない、
ということに、ようやく気づき始めたようだ。
今まで、あまりに甘えないので、放置しすぎたかと思い、
夜は一緒のベッドで寝るようにした。
最初は私が楽しくてやっていたのだが、
気に入ったらしく、たまに一人でベビーベッドで寝ていることに気づくと、
夜中に大きな声で私を呼ぶ。それがまた嬉しかったり。
朝、トントン、と小さなホカホカした手で起こされる。
ふと見ると、笑っている。
イタズラもさかんになってきた。
椅子に座って、こちらをニンマリと見た後に、
手に持ったオモチャや飲み物を、ポロン、と落として
反応を期待して見ている。親をコントロールしたいと思っている。
あわてて拾ってもらえると、大喜び。何度でもやる。
名前を呼ぶと、ハイッと手を挙げる。
パパがコートを着ただけで、バイバイを始める。
ネンネ、ネンネ、と言いながら勝手にベッドへ上がって寝る。
ミルクの話をしただけで、全身で大興奮するところは、まだ赤ちゃんだ。
着替えがだいぶ楽になってきた。被せてやれば、
自分で頭を通し、テーテ、と言いながら自分で手を通す。
車のおもちゃでよく遊ぶ。男の子なんだなあと思う。
ベビーカーも、掃除機も、タイヤの付いたものなら何でも車に見立てて遊ぶ。
丸いものが好き。積木の中から、毎日丁寧に、丸だけが取り出してある。
赤い本が好きで、多数ある中から赤い本だけが取り出してある。
X-FILESのテーマ曲を歌う。興奮気味に、私の後に続けて歌うのだが、
他の曲ではそこまでの反応はないので、覚えているのだろう。
妊娠中に、膨大なX-FILESのレンタルビデオを全部見た。
生まれる前のこと、どれだけ覚えているだろうか。
こんな小さな子供にも、失われる能力はたくさんある。
腹時計の、一分刻みの正確さも、今はない。
人の脈拍を聞き分ける聴力も、なくなった。
私に初めて抱っこされた時のこと、まだ覚えているだろうか。
初めて病院から自宅に帰ってきてびっくりしたこと、覚えているだろうか。