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ふたりぼっち

 

育児をしていると常に思い出すこと。

人と違う自分がいつも苦しかった。
人と喜び合えない自分が寂しかった。
人を思いやり得ない自分が悔しかった。

子供は千差万別それぞれで、でも
ほとんどがそこそこ似通っていて、
いっせいに笑い、みんなで泣く。
私にはその理由が、見当がつかなかった。

自分はひどく頭が悪いのだ、落ちこぼれているのだ、
と思っていた。先生はいつも私を褒めた。

この一年、たくさんの育児中の人の悩みに出会った。
分からない。私には共感できない。

初めての出産でなぜ不安になるのか。
パートナーに恵まれているではないか。
初めての育児でなぜ戸惑うのか。
相手は人間ではないか。
赤ちゃんとなぜ言葉が通じないのか。
何か月間も体を共有したのだから、思うことは母親と同じではないか。
赤ちゃん自身もちゃんと伝えようとして泣くではないか。
泣き声になぜ焦るのか。なぜよく泣く子で安心しないのか。
ちゃんと話してくれているではないか。
そしてなぜ女友達と悩みを話し合って安心するのか。
私には自信しかない。

ベテランの母親なんていない。
私自身だって新米の母親に育てられたが、
ちゃんとどうにかなっている。
それに二人目が生まれたら出来ないだろうことは、
一人目でも頑張らなくてよいと思う。

赤ちゃんが泣いて、お母さんも泣いて、
みんな一緒に泣きながら試行錯誤している。
一方でそれは大切な愛着の過程であり、
人と喜怒哀楽を共有するための一歩なのかもしれない。
私と息子の間には一緒に泣いた経験がない。
私も子供の頃、息子のように、甘えない自立したタイプだった。

だからここに、同じタイプの人間がふたり。
ふたりぼっち。