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二つの悲しいニュース

 

悔しい。
毎日、たくさんの文章と、たくさんの音楽が、
思い浮かんでは、消えていく。
書き留める時間などない。たくさんの、思いが消えていく。
全部残したい、というのは欲張りだろうか。
でも、そう思えるほどに、輝き溢れるたくさんの思い。

ネガティブなことを書いてみる。
産前産後、続く仕事。
会社に雇われていないから、育児休暇、なんていうものはない。
入院の日も、退院の日も、自宅で仕事。
嫌な仕事をしているのではない。
子供の要求に応えてやりたいのに、それが仕事のために、出来ないのだ。
そして結局、仕事をしないといけないのに、子供のために、出来ない。
悔しい。

自分が昼寝をしたこともない。
誰も助けに来ない。里帰りもなく、実家もなく、
親の手伝いもなく、親の喜ぶ顔もなく、働かなくていい状況もない。
でも、出産前まで無性に苛立っていた、里帰り、という言葉は、
なぜかもう気にならなくなっている。

少し前に、悲しいニュースがあった。
比較的都会のあるところで、
生後2か月の赤ちゃんを揺さぶって死なせてしまったという。
罪は罪だが、押さえきれない共感の気持ち。
赤ちゃんのいる母親の多くがこのニュースに共感している、
ということを、世の中はどれほど自覚しているだろうか。

ニュースにあった、
「子供が可愛く思えなかった」なんて、それは普通のこと。
誰でも赤ちゃんが生まれて3か月くらいは不眠不休、
私も、3か月間くらいは、一度も1時間以上眠ることなく、
ときどき意識を失いかけつつ身の危険を感じつつ、何とか過ごした。
疲労で限界を感じながら、一日中ひっきりなしに大声で泣きわめく赤ちゃん。
赤ちゃんの泣き声というのは、警告音であり、人を心理的に焦らせる。
痴漢撃退ブザーというのものがあるが、ちょうどあれを一日中
耳に突っ込まれているような感じだ。

もう一つニュースで「夫が非協力的」なんて、これも普通のこと。
産後の母親は、本能的に赤ちゃんを最優先して考えるように出来ていて、
細かいことにもよく気づくようになっているので、
旦那さんがどんなに協力しようと、赤ちゃん以外の人に気が回らず、
急に人の欠点ばかりが見えてきたりもして、
自分だけが頑張っているように感じる。
そういうものだ。

もう一つの悲しいニュース。
2才の子供をゴミ箱に入れて死なせたという。
悪質きわまりないが、注目すべきは、
母親が父親から暴力を受けていたという点。
あまり取り上げられていないが、
もし暴力や精神的抑圧があったとすれば、理解はできる。
自分が嫌がることを進んでやってみて笑うことで自分を痛めつけ、
自殺することさえ物足りなく感じる。
母親が幼い我が子を殺すということは、自殺を超えた究極の行為なのだ。
ただ、悪質きわまりないことには変わりがない。

でも、誤解しないで欲しい。
そのくらい、母親にとって子供は分身で、自分より大切で、
この苦労を乗り越えてなお、子供は可愛いし、育児は楽しいのだ。

本来、子供は母親一人で育てるものではない。
なのに、初めての育児で戸惑って疲れて、誰かに相談する余裕もなく、
母親がすべてを独りで抱え込んでいる。
そして多くの人が、程度の差はあれ、ウツ状態を経験する。
私が住んでいる都心の地域は特に、実家が遠かったり、
旦那さんが一日中いなかったりして、
家族の協力が得られにくい人が周りにほとんどなので、
町ぐるみでお互いに助け合うことが出来たらと思う。

赤ちゃんに八つ当たりだなんて、子供を親の所有物みたいに
考えている、なんていう意見もあるけれど、
根本的には、そういうことではなく、
母親一人がすべてを背負うには限界がある、ということだと思う。
自分の心をコントロールするというのは簡単ではない。

それでも、育児は楽しい。
子供はかけがえのない宝だ。