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踊る赤ちゃん

 

毎日思う。この人は何だろう、と。
この間までいなかったのに、突然存在して、
最初から個性的で、一人前に私に話しかけてくる。
宇宙人か。何かの生まれ変わりか。私の分身か。私自身なのか。
本人にとっては、自分はずっとこの世に存在していて、
この間までいなかった、なんていうことは知らない。
この間、はずっと遠い遠い、無限に遠い時点なのだ。

息子は現在11か月。
はじめての靴を買った。13cmの小さな運動靴。
もう2才用の洋服を着ている。ずいぶん成長するものだ。
子供がいなかった頃、知人の出産祝いを買おうと、
0才サイズの服を探した。何と無知だったのだろう。

髪を切った。
肩まで伸びて、目にも被っていたので。

9か月半くらいからようやく、突然しっかりとした腰の高い、ハイハイを始めた。
でも、腕が華奢なわりに足腰がしっかりしていて、
立つことの方が得意そうだ。伝い歩きをしては、ひとり立ち、
そして、タッター、と叫ぶ。一日中立っている。
便が出ると、デタ、と私の目を見てきちんと言う。
成長は楽しい。

この間は、同じ日に病院で一緒に生んだ四人で集まった。
それぞれに、個性が出てきていて面白い。
息子はというと、穏やかでマイペースで自立タイプ、
友達のお母さんたちをじっと見ては、話しかけるような顔でニコニコ、
たまにゆっくりと移動しては、一つのおもちゃに夢中になり、
じっとして周囲を気にせず一人でいろんな表情をしながら浸って遊んでいる。
ときどきこちらを見てニコッとする。
頂いたパンを一切れ、持たせておいたら、いつの間にか食べ終わっていた。
そしてその上、持ってきたお弁当も黙ってパクパク食べて、
ひとりで飲み物を飲んでいた。

夫の実家にも行ったが、ようやく義父母に対して泣かず、
機嫌良く遊ぶことができた。親戚の2才の子の好きなおもちゃを
全部口に入れてしまって、親戚の子が大泣きをしていた。

音楽が大好き。よく踊る。
音楽が聞こえると必ず、無表情で小さく縦にリズムをとる。
港区の五時のチャイムも、ハッとして動きを止めて聞き入る。
ちょっとしたニュースの音楽にも敏感に反応して体を動かす。
音楽が気になって仕方がないようだ。
歌の絵本を鳴らしていると、おつきさまの歌のところだけ、
データー、データー、データー、データー、と歌う。
そして、デタ、デタ、と小さくつぶやきながら寝た。
意味を勘違いしていそうだ。

よくわがままを言う。要求が多い。のけぞって泣く。
とても良いと思う。
私にはいつでも言いたいことを全部言ってほしい。
私の小さかった頃は、自分の要求なんて何も言えなかった。
それを、性格のせいにされるのが嫌だった。
子供は、聞いてもらえなければ、言わなくなる。

ママのこと、大好きだろうか。
甘えない自立した性格なので、
私の顔を見て泣くところが見たいのだけど、なかなか見られない。
と思うけれど、たまに、しばらくよその人に抱っこしてもらっていて、
私の顔を見た瞬間、静かに大号泣の顔をするのが、私は楽しい。
笑顔も良いけれど、実は泣き顔がいちばん好きで、
写真に撮ろうと思うけれど、いつもカメラを向けているうちに
笑顔になってしまう。