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人間は群れで生きるもの

 

人間には集団欲というのがある。集団欲とは、寂しさなど感情にまつわることを意味してるのではない。

人間は「群れをなす」動物だということだ。

群れで生まれた子供は、群れで育てられ、産前産後の母親には世話が付き、母子には護衛が付く。群れの誰かが狩りに行き、誰かが家を建てる。誰かが育てた野菜や、誰かが作った服を、他の群れと交換する。そこに、安心がある。

群れの本質は、「分業制」だ。人間は、分業せずには生きられない。

群れから外れた個体は死を意味する。群れから外れた母親は、子供を守って死ぬ可能性があるということだ。子供のいない単独の大人よりもさらに弱者だ。

だから本来、子育ては、母親が単独でするものではない。母親がたった独りで、育児をして、家事をして、仕事をして、日々の計画をして過ごすこと、それは、その親子の死を意味する。実際のところ、お金さえあれば、物理的には分業が得られる。心の分業は得られず取り残されていく。危機にさらされながら毎日をサバイバルして過ごすということだ。

本当の孤独とは、緊張。自分ひとりで戦い、自分と大切な人を守らなきゃならないということ。

逆に言うと、緊張とは、孤独。ひとりで戦わなきゃならないから緊張するのだ。

緊張にさらされるうちに、人は、大切な人のことを、大切でない、と思い込むことがある。また、独りでも平気な人とは、一見して危機に鈍感な人のことを言うのであって、独りで生きられる人間はいない。

だから、大切な人を守るということは、大切な人以外すべてを敵に回すことではない。大切な人に、より多くの味方を付けてあげることだ。大きな群れに入れてあげることなのだ。そして、それ自体が、独りでは難しい。社会全体で、孤独をなくし、大きな群れを作っていくことが、世の中の課題なのだろうな。