:: rainbowdrops ::

3才児の多感な日々

 

なかなか書けなかった息子の3才前半の日々を、1年前から振り返る。

保育園に入園して一年経ち、次の年も五月病。
教室が替わり、先生も替わって、大泣きする子もいる中、
息子は強気に1か月機嫌良く通って、予想どおり、
その後おかしなテンションになってきた。
悪いと分かっていることをニヤニヤしながらやってみて親の反応を見て、
叱られるたびにまた嬉しそうにニヤけるのだ。
自分が嫌がることをむしろ自虐的に堪能している感じだ。

もともと甘えるということをしなかった息子だが、
下の子が素直に私に甘えるのを見ていると、
なおさら上手く甘えられない。
私が産後、体調を崩しがちだったり、
目の前にいながら忙しくて相手できなかったりするので、
気を遣って我慢してストレスが溜まるようだ。
そして溜まって爆発するのが、新年度などの転機。
どんどんテンションが上がって、にやけながら凶暴になり、
家具や大切なおもちゃを破壊し、歪んだ目つきをする。
何とか前向きに明るく過ごそうとした結果だろう。
泣いて甘えないところが息子の良いところでもあり、
生きづらいところでもある。

すごく人の世話を焼こうとする。

夕食が終わってから夫が帰宅すると、
「パパごはんないよ。食べないの?メロン食べちゃったよ。
 あ、スープあるよ。スープ食べる?」
と母親のように世話を焼いている。
お風呂上がりには、夫の衣類を勝手に引き出しから選んで渡し、
「パパのお茶はないよ。これはママのだから。パパはビール。」
と風呂上がりの飲み物まで世話をしたがる。
夫が朝食を食べないのを気にして、キッチンに踏み台を置いて
グラスを取り、冷蔵庫のコーヒーをよいしょと注ぎ、
重かったのか、2cmほどしか入っていないが、それを食卓の夫の席に置き、
冷蔵庫のバナナを一本ちぎって、またコーヒーの隣へ持っていき
「パパー、ごはんあるよ。食べてくださーい!」
と呼ぶ。

よその家へ行くと、きちんと挨拶し、正座して少しずつ食べ、
歳の違う子とも上手に遊び、大人たちに抱っこされてニコニコし、
よく感心される。一見いかにも手のかからない子。
人に会った後、帰る途中に何度か「ママ」と言ってじーっと見て、
私が元気かどうか、疲れていないか確認して、小さく頷いて笑っている。

いつも面白いことを探して妄想している。

片付け忘れた車のおもちゃをふと見つけ、
「しゅんくんのバス黄色いの、こんなとこに!」
と手に取ってフットマッサージャーの上に乗せて電源を入れ、
「バス、ガタンガタンしちゃったよ、面白いねえー。」
と大喜び。

朝食時の会話。
「しゅんくんは、つばさ(新幹線)乗るの。つばさは、何入ってる?
 クラゲ入ってるだよ。クラゲはー、ぽよーん、ぽよーん、だよ。
 おっっきいクラゲはぁ、ぼよぉぉーん、ぼよぉぉーん、だよ。
 これはー(と食品用のクリップ)観覧車。(と、クルクル回す)
 何入ってる?車入ってるだよ。」
バナナを見て、「総武線だよ、Dr.イエローだよ。」と言って喜んだが、
皮を剥く時、柄の部分がポキッとなってしまい、
何としても元に戻したいらしく、
「差すのー!」と震えながら絶叫し、それから
「ママむいて。」と言うようになった。そんなこだわりもある。
傷んだ部分を「ここちょっと黒いから。」と筋も綺麗に全部取り除き、
最後の先端の筋の集まったところは食べないように残す細かさ。

ちなみに、要らないの? と聞いて、「うん」と答えたら、要る。
Yes/Noの答え方も自己流だ。人に伝わらない。

花が好きで、いつも雑草の花を摘んでいる。
綺麗な花は「ママのだよ。」、小さな可愛い花は「りんちゃんのだよぉ。」
と笑って私に渡す。

胎内記憶を聞くが、答えてくれない。ほとんど覚えていないようだ。
「ママのおなかはお水。ピンク!ピンクかわいいねえ。ハハッ。」
と、ただこれだけ。
息子には、おなかの中を思い出したいという欲求が初めから無さそうだ。
抱っこゆらゆらが嫌い、おくるみが嫌い、添い寝が嫌い、心音に無関心。

自発的にトイレに行けるようになった。
保育園では2才のうちからほぼ出来ていたのだが、
ずっと自宅のトイレを嫌がっていた。
ある日私は、トイレに対する良いイメージ付けが必要かと思い、
上手に座って便が出たらケーキを食べようと約束した。
私が息子を食べ物で釣ったのはこの一点だけだ。
上手に成功すると、
「うんちは何色?茶色?ハンバーグも茶色だよ。
 ハンバーグとうんち、一緒だねー。ハハッ、やったぁ!ケーキだよ。」
と自分で大笑いしていた。

文字が読めるようになってきた。
数字は完全に分かるので、
エレベーターで私が間違って降りそうになると引き止めてくれる。
私の服のプリントの「A」を指して、
「これはりんご。アポーだよ。」と良い発音。

車の車種に興味を持っている。
毎日の保育園の行き帰りの会話は、ほとんどが車の話。
「あれはベンツだよ。あーっ、BMW。あれはトヨタのハイエース、
 そのむこうはマツダのデミオ、あっ、プリウスタクシー!」
ずっとこういう会話で、私の反応が少し甘いと、何度でも同じことを言う。
オリンピックのマークを見ても、「アウディだよ。」と言う。
何でも車に見立てる。
夜に外で車のうなる音がすると、
「あの音はランボルギーニだよ。」と教えてくれる。

相変わらずひどい偏食。
保育園のクラスでも一番大きい方なのに、一番食べない。
クラスのお友達がお母さんに「背が高くなりたかったら
野菜も食べなさい。」と言われ、「しゅんくんは食べてないけど
大きい。」と口答えをしたとか。
ご飯やパンはそこそこ食べるようになってきたものの、
おかずやスープの具に手を付けることはあまりない。
野菜の色柄にぞっとするらしく、トマトの断面が「こわい」と言う。
お祭りの焼きトウモロコシも「こわいー!」と震えて叫んだ。
黄色い中に黒の点々があるのがウロコっぽくてダメらしい。
食べ物の食感もよく途中で気になって吐き出す。
好物はいわゆる、旅館の朝食。地味で定番のものが良いらしい。
焼き魚や海苔、納豆などが好きだ。

そんな息子だから、外食もままならない。
子供たちを連れて、地域の情報誌の編集会議に出席するときは、
その前に、野外で運河沿いに並んで座り、
モノレールを眺めながらコンビニで買ったパンなどを食べる。
私にとっても、息子と過ごす、この時間は極上だ。
もしも息子が偏食でなかったら、店に入ってしまっていただろう。
もったいない。
編集会議では息子はいつも机の下で静かに遊んでいる。
出席者のみなさんも、いつも息子が付いてくることを楽しみにして
くださっていて、毎度おもちゃやお菓子を下さる。

息子の夏の激痩せはひどかった。
もともと少し太めな印象だったので、
すっきりと子供らしい体型になって、悪くない感じではあるが、
便秘と下痢を繰り返し、毎日のように食事中少しだけ嘔吐する。
心配で何度か医者に相談し、アレルギーの検査などしたが、
問題は見つからず、そういう体質でしょう、と言われた。
問題がない、というのは、余計に心配になる。
私が見る限り、肌に出ないタイプのアレルギー症状と変わらないので、
何らかの食物に過敏に反応しているのだろうと、
タンパク質系の食物や消化の悪いものを思い切って減らしてみた。
そうしたらずいぶん良くなった。
おそらく偏食もそういった体質から来ているものだろうと思う。
わがままを言って食べない、という風には全く見えない。

乗り物酔いをするようになった。
自家用車に乗ると、「お首が苦しい」と言う。
大型車ならば大丈夫だと自分で言っていた。

あとは、初めての迷子の呼び出し。
家電量販店で夫と一緒にいたはずが、
いつの間にか息子はロボット掃除機の実演に夢中、
夫はマッサージチェアに座ってすっかりくつろいでいたらしい。
小さな子供がずっと独りでいるのを周囲が気にしたらしく、
「オレンジ色のTシャツを着た3才の男の子が・・・」と呼び出された。
本人は、迷子になったつもりはなく、店員の方に
夢中でロボット掃除機が親戚の家にもあることを説明していたらしい。
どこに行っても愛想良くにこやかだ。
息子は笑顔の多い人。

長くなったが、保育園の連絡ノートのまとめ。