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コロナが落ち着いたら会おう

 

大好きな友人が亡くなってから1か月。50歳の女性。背が高くて、優秀な会社で働いている。優しいパパさんと、この春大学生、中2、小4になる可愛い息子さん達がいる。

彼女は、以前に癌の大手術をしているから、コロナ中はオンラインで話して、コロナが落ち着いたら会おうと思っていた。春休みに、息子さん3人と旅行に行かれたのをFacebookで見つけて、アップされた彼女の顔がすごく綺麗だと思ったのがなぜか強く印象に残っていたところだった。会うたびに、私はもう長くない、というような話を聞いていたから、人生でやり残すことのないように、また旅行に行っているな、すごいな、と思った。その旅先で、海で遊んでいて亡くなったとのこと。病気ではなくて。

生活が大きく変わるご家族には申し訳ないが、私にとっては、何も変わらない。今まで通り、コロナが落ち着いて会えるのをずっと待っている。早口で次々と話して、ときどき息子さんを叱りつける声がありありと思い浮かぶ。頭の回転が早く、スケジュールのやりくりが上手で、バリバリと仕事と3人の子供の習い事を両立し、よく旅行に行った。尊敬していて、大好きだなあと、実は日頃しょっちゅう彼女のことを思い浮かべていた。18年前に彼女の結婚式で選曲したディズニーの音楽がセンス良く、スマホに入れてときどき聴いていた。

次男くん三男くんを連れてウチへ何度も遊びに来てくれた。うちの子と年齢が近くて、気があって、仲良く遊んでくれた。ウチはゲームや漫画が充実している。次男くんが終始「いいなあ〜、いいなあ〜、買って、買って、買って。」となって叱られていた。「どうせ買ってくれないのは分かったからさあ、欲しい気持ちまで否定しないでよ。」という次男くんの賢い言葉が印象に残る。彼女は安易に子供に買い与えない、賢いお母さん。その気丈さが素敵だ。三男くんは、お母さんの前では幼児語を話して抱きつき、見ていないところでサバサバと大人っぽく話す。末っ子なりの、お母さんへの気遣いだ。

パパさんも同じ仲間の友人で、ある日次男くんの習い事の送迎ですれ違った時に、私が痩せていて心配だと思ったそうで。そのことを、彼女は後日、「失礼じゃない?ねえ。」と私に言う。どちらの気遣いも嬉しい。どちらも優しい。似たもの同士だよ、と伝えたら、ちょっと気に入らなそうだった。その後、私の別の友人に、また日頃のパパさんの小さな文句を言い、「彼女なら分かってくれるの。」と私のことを言っていた。いやいや、私はその不満に全く同意していない。素敵なご夫婦だ。

夫婦関係を真剣に良くしたいから相談に乗って欲しいと、横浜駅のカフェで長時間二人で話したこともある。私なんかに相談してどうする、と思いながら嬉しかった。早口で延々とパパさんの文句を言うんだけど、私からしたらその内容は十分に微笑ましい。素敵な彼女が選んだ、真面目で優しい旦那様だ。

お別れに行く途中、元町を歩いていて、一緒にこの道を歩いたなあと、気配を感じた気がした。とても綺麗に化粧されていて、彼女の一番好きなサーモンピンクのリップの色が再現されていて、嬉しかった。長男くんが第一志望の大学に受かって、入学式に臨む、その直前に亡くなった。相変わらず可愛い息子さん達、ちょっと大きくなったけど、これからもまた会えるかな。